可愛い娘ちゃんを求めて

カール・ベームからオペラへ、オペラからモーツァルトの歌劇「魔笛」Die Zauberflöteへ、そこで90年代にWOWOW で放送されて録画したビデオを引っ張り出しオーディオから音が出るようにして早朝から聴いている。

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やっぱり「夜の女王」はグルベローヴァが一番だとあらためて思う。コロラトゥーラソプラノと言えば「魔笛」の「夜の女王」と言われるくらいだが、実際うまく歌い切れずに引き下がっていく歌手の方が多い、それほど至難なのが「夜の女王」登場の場面だが、この1982年ザルツブルク音楽祭で上演されたレヴァイン指揮、ウィーンフィルウィーン国立歌劇場合唱団の「魔笛」でも1991年のハイティンク指揮バイエルン放送合唱団・交響楽団の「魔笛」(スタジオ録音のみ)でもグルベローヴァが最高のコロラトゥーラで歌う。
たった三場面しかない「夜の女王」よりも本当はパミーナ役の方が大事なので、ルチア・ポップがパミーナ役で歌うハイティンクの「魔笛」が個人的には気に入っている。

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朝湯のような道楽か?他人が朝湯に浸かる場面など朝からだれも見たくないだろう。

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けれど「魔笛」は見ておいて損はない。

オペラだクラシックだと言うと堅苦しい感じがするが「魔笛」は面白い冒険ファンタジーで少なくとも歌舞伎より楽しいはずだ。
一応は「愛」と「友情」が数々の試練で試される「美」と「英知」を称揚する話だが、同時に「可愛い子ちゃん」を求めて王子さまと山育ちの猟師がさまようドタバタ喜劇でもあって、フリーメーソンの思想がどうのこうのなんて無視していい。

特にこのレヴァインの「魔笛」はポネルのユニークな演出もあってぐいぐい引き込まれる。カメラワークもその演出を上手く撮っている。3時間があっという間に過ぎる、語り草にもなっている上演だ。(YouTubeに上がっているのは別の上演。)

今となってはフェミニズム的にも人種問題的にもキツいお話の「魔笛」だが、もちろん「ここでそれはナシ」だ。