水の重さ

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Sofia Gubaidulina(ソフィア・グバイドゥーリナ
HMVの彼女の商品ページ
http://www.hmv.co.jp/search/artist/000000000026182/

実のところ、わたしも彼女について多くを知らない。「高橋悠治指揮・新星日本交響楽団グバイドゥーリナ作品集」(「6つの練習曲」(「10の前奏曲」より)、「深き淵より」、「7つの言葉」収録・フォンテックレコード)一枚しかきいたことがないのだから。(写真は別のアルバム。)

深く刻み込まれた音の記憶だ。他の作品は知らないがその存在は忘れようがなく重い。その重さは水の重さのようだ。深度による圧力と暗さ、湧き上がり沈み込む波動だ。そして真空の風のなかに立つ者の指先の緊張とそのたたずまいの静謐・・・

しかしお勧めはしない。それはこのCDに限っていえば、わたしの聴き方が特殊だからだ。どういうふうに特殊なのか、それはとてもここでは話せない。まあ、それでなくてもこの音をきくのは決して楽しいことではないだろう。そして、だからこそわたしはきくのだけれど、そうした聴き方はむろん彼女の好まぬところにちがいない。しかしこんなふうに話してもだれも聴きたいとは思わないだろうから無意味な言葉だ。

なにを堂々めぐりしているのだろう。

なぜこの曲を思い出すのか。

きっと寒いからだ。そう、今夜は寒い。