2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

風を送る

「君は別さ。物書きだから」 「そうね。小説を書いているときは、嫌でも目を開けてなきゃならないから」 「ふいごを操るのか?」 「違うわ。風を送るのはわたしじゃないの。主人公たちの衝動が風を送るのよ。あるいは、主人公たち の行動理念って言ってもい…

フーガはつづくよフーガはつ

27・27・27・念には念を ある日の正午頃、わたしはほぼ満員のS系統のバスに乗った。ほぼ満員のS系統の バスには、かなり滑稽なひとりの若者が乗っていた。わたしは彼と同じバスに乗り合わせ たわけだが、わたしが正午頃乗ったこのほぼ満員のS系統のバスに…

99のフーガ

22・語尾の類似 ある日のお昼、バスに乗る。車が走る。くるくる回る車のなかに、軽々立ってるワルがいる。まるまる肥えてる客がぶつかる。ずるずる押される、ワル怒る。ぶるぶる震える、咎める、怒鳴る。「この猿、何する」。威張るがすぐ去る。あいてる席取…

季節はずれのヴァレンタイン

それはまるで水のように変幻自在に「になる」。鉄に、風に、翼に、滝に、砂に、髪に、そして、声になる。ときに殺し、ときに甦らせる。忘却と記憶のはざまでゆれる案山子。静止あるいは亀裂のたたずまい、その色合いと光り。照葉樹の下を流れるやわらかな流…

春の雨は

大伴宿禰家持、藤原朝臣久須麻呂に報へ贈る歌三首 春の雨はいやしき降るに梅の花いまだ咲かなくいと若みかも 『万葉集』巻第四-七八六(旺文社文庫)より

すると吹きつのって来た風が、

厨の前の四本の大きな椎の枝に縄が張られ、洗濯物はその縦横に張られた麻縄を隈なく占領し て、栗林のなかを吹き抜けてくる西風にはためいている。繋がれたマギは頭上にひるがえるこの 白い影の戯れに、何度も居ずまいを直しては、また思い出したように断続…

マリアのなかの・・・

そのなかにあるのはなにか。( )のなかにあるのは・・・そこになにもないのなら、( )は存在しなくなるのだろうか。それは「イデア」ではないだろう。それは「現実」ではないだろう。けれどそれは生まれてくるだろう。生起するだろう。波のように、風のように…

それは波の・・・

(中略)この世界とは、すなわち、初めもなければ終わりもない巨大な力(force、フォルス)、増大することもなければ減少することもなく、消耗するのではなくて転変するのみの、全体としてはその大きさを変ずることのない青銅のごとくに確固とした力の量、(…