2009-01-01から1年間の記事一覧
大つごもりより雪。ひと足先に 春の野に霧立ち渡り降る雪と人の見るまで梅の花散る 『万葉集』巻五 八三九 「新訓 万葉集」(岩波文庫)より
日高敏隆氏が亡くなる。好奇心と自由な感性、そして柔軟な思考で動物の行動を探究してきた彼のことを、やはり先ごろ亡くなったレヴィ=ストロースが知の巨人と呼ばれるのなら、わたしはなんと呼ぼう。 「犬のことば」という本が日高氏との最初の出会いだが、…
秋の田の穂向きの寄れる片寄りに君に寄りなな言痛くありとも 但馬皇女 万葉集 第巻二 一一四
たいふうがくると しょっちゅうていでんになった いまかいまかとまちつづけていても それでもやっぱり それまでさわいでいたてれびや やみよからぽっかりうかんでいたへやが きゅうにくらくなったりすると やっぱりあわててしまって だけどもなんだかきゅう…
目には見て手には取らえぬ月の内の楓のごとき妹をいかにせむ 万葉集 巻第四 六三二
大伴家持、紀女郎に贈れる歌一首 なでしこは咲きて散りぬと人は言へどわが標めし野の花にあらめやも 万葉集 巻八 一五一〇 「新訓 万葉集 上巻」(岩波文庫)より