い咲き廻れる

  車持朝臣千年の作る歌一首


鯨魚取り 浜辺を清み うちなびき 生ふる玉藻

に 朝凪に 千重波寄り 夕凪に 五百重波寄る

辺つ波の いやしくしくに 月に異に 日に日に

見とも 今のみに 飽き足らめやも 白波の い

咲き廻れる 住吉の浜


万葉集』巻第六-九三一  (旺文社文庫)より