愛でたいお話

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curiousであることに両義的な属性があるように、「しりたがりや」のおさるがとる行動は、いつも大騒動を巻き起こしながらも決まって楽しく幸福な結果をもたらす。
たとえば写真の巻のように、置きっぱなしのダンプカーに乗り込み誤って?荷台を傾けて積まれていた土砂を公園の池に入れてしまっても、そうやってたまたま出来た「小島」がアヒルたちのかっこうの遊び場になるわけだが、こうしたささやかなめでたしめでたしの結末がおさるのちょっとした表情の変化や配慮ある色の使い方といった「控えめさ」を背景にやさしく描かれるこのおさるの物語は、わたしたちの愛読書のひとつだ。
池に落ちてしまった木の葉が光の乱反射とともに風にゆらぐようにそれはめでたい結末にみちている。
「これはジョージです。ジョージはかわいいこざるでしたが、とてもしりたがりやでした。」という紋切り型ではじまるこのおはなしは、curiousが幸福へと辿り着く、今となってはとても幸福な物語なのだろう。


おさるのジョージ ダンプカーにのる』 レイ夫妻原作・ヴァイパー・インタラクティヴ制作 (岩波書店)