ハギノタネ

秋に釣りに行くと海だろうと川だろうと服に帽子に萩の種子が付いて大変なことになる。
花の咲いているころはまだ釣れ出す前の時期なので出会うのは種ばかり、実に不粋と言う他ない。
この前の釣行もそうだった。それで図らずも我が家にやって来た種を庭に播いたわけだが、来年にも花に出会えるか。

万葉集』巻八、一五一四の穂積皇子の歌など、あまりの簡素さに言葉がない。雑草のごとくただ咲きただそれをおもう。
大伴家持の歌三首はそこにわずか心が添えられるが、添えていないかというほどの簡素さで言葉の透明感が濁らずさすが家持だとほれぼれする。秋にこそこうした簡素な歌を愛でたいと思う。

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