生きのびる

水がゆっくりと染みこんでいくようなところなどもう残っていないかと言って乾ききっているのでもないなにもないからだがらんどうの廃屋なのにもう蔦も絡まることをやめて蜘蛛も巣をはらず風も訪れず時は流れていてもカラカラとむなしく日向も日陰もない誰も見ることのなくなった写真のようにそれでも消えずにここにある土に還ることなく粉塵ともなれずそこにあるだけだ印画紙の上の姿は誰ともわからず人であったことさえも不明となってそれでも零になることを拒まれてあり続けるが誰の記憶からも消えていくのか朝がくる