僕たちと羊とマルメロと

見落とされたまま枝にぶらさがるマルメロは揺れる



それから

夜GPSの破片が流れる

朝羊が消える

昼泥棒と市民が影踏みしながら通りすぎる



酸っぱい雨に濡れ

奇形の鳥に脅かされ

キンユーの空っぽの背中にすり寄られ



お前は
恐れ慌てる手前で
宙ぶらりんになったままだ

お前を穫るための梯子は
歴史のなかには見あたらない

カンボジアジーンズ工場で子供たちが笑う

ニューヨークの一角で幹部たちが笑う

それから
羊が笑う

兎なんかより俺たちの方がたぶん多く跳ぶよ



それはそれとして
マルメロの実って枝のわりに大きすぎないか

一匹の羊がそう言い出すのを
おととしの秋から
お前は待ちつづけいるのだろうか

そうそう僕たちは今日もモノを探しに町にでかけるよ