プランクトンの夢は地層となりて

あまりに多くの者が慢性の健忘症に罹って久しいこの国の民は遠くない未来に原発のもたらす不安や恐怖など忘れてしまうだろう。その記憶の風化を電力会社は以前と同じやり方で後押しするだろう。 確かに代替エネルギーが今の電力量をまかなうようになるには様々な壁を越えなければならないが、その道のりはかなり長いはずだ。
それはそうだ。石油や石炭や天然ガスといった火力発電の燃料である化石燃料プランクトンの死骸が海底に堆積した地層が何億年もかけて自然と造られたのだから、その化石燃料に支えられて今日に至った電力量をまかなう代替エネルギーが百年かけて構築されたとしても超ハイスピードなのだ。
それに化石燃料は発掘してからのちのコストを除く、発掘以前のコストはゼロだから、言わば「ただ」同然の燃料な訳で、これ以外のエネルギーはすべてが高価なものになるのは当たり前のことであって、故に、今の電力量を減らさない限り、ヒトは原子力からも化石燃料からも逃げられない。
そのことを踏まえた上で、それでもヒトは代替エネルギーを手に入れなければならないだろう。(続く)