「3安」幻想からの目覚め05

しかし、原発なし化石燃料による発電なしで、果たして現在のような消費電力量を賄えるだろうか。経済成長を前提とする今当たり前とされる考え方が変わらない以上、新興国の電力消費量は今後も増加の一途を辿るだろうから、かなり本気にならない限り自然エネルギーだけで電力を賄うのは難しいだろう。
だからこそ「節電」ではなく、根本的に電気を少なく使うライフスタイルの変革と経済成長こそが豊さをもたらすという考え方からの転換が必要なのだ。
この経済状況の中でそんな理想的な話をされても…と言われてしまえばそれまでだが、しかし、環境と健康に配慮した安全なエネルギーを安定的に供給するには、私たちは安くはなくなる電気代を払う覚悟が必要だろう。
代償なしに未来は手に入らないということだ。政治や行政に文句を言うのも必要だが、今必要なのは自らが考え行動することだ。あらゆる意味で「脱依存」こそが問題なのだろう。
今や「3安」が揃うエネルギーが幻想にすぎなかったことは明白だ。今こそ夢から覚めて透明な視線で近くの光景と地平の彼方を見つめてみよう。そして、それは被災地を前に私たちがすべきのとのひとつでもあるだろう。