形而上学的ポルノグラフィーの

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「ああ、われわれを永久に至高の『善』に釘づけしたと断言してはばからぬ『博士たち』の傲慢さよ!われわれの意志の目的が善だとしても、善の幻影はいやしい快楽ほどにはわれわれの心を奪いはしません!わたくしを満足させてくれるものは、神の御顔をけっして拝することのない人々についてのわたくしの意識をいっそう増大させてくれるのです!ああ、神がうちくだこうとなさらない知性にとって、なんと耐えがたい至福でしょう!わたくしの裡なる神のみが神に反対するのです!」
 このような調子で語っていた微風が、突風に変わっていったために、彼女自身の霊息がかれの城砦の巡警路上に落ちてしまった。


『バフォメット』第一章/ピエール・クロソウスキー/小島俊明訳(ペヨトル工房)より