2008-03-31 風を送る 彼方へ #練習用 「君は別さ。物書きだから」 「そうね。小説を書いているときは、嫌でも目を開けてなきゃならないから」 「ふいごを操るのか?」 「違うわ。風を送るのはわたしじゃないの。主人公たちの衝動が風を送るのよ。あるいは、主人公たち の行動理念って言ってもいいけど」 「でも、君の力も少しは働いてる」 「わたしは何もしてないわ。観察するだけでいいの。わたしは何ひとつ生み出さないわ。わたしは発見 するの・・・」 「クレールの膝」(『六つの本心の話』早川書房)より