2008-01-01から1年間の記事一覧

家に帰つて行くと、

家に帰つて行くと、ノラは私を何日振りかに見て、ニヤアニヤアと幾声も続けて鳴いた。 元気でふとつてゐて何も心配する事はなかつた。段段に大きくなり、おとなになつた。家の中に ゐればのそろのそりしてゐるけれど、庭に出るとあつちこつちを非常な速さで…

ことりのけんか

たいくつだからけんかをしよう ゆきのふるにちようのおひるまえ うすびのあたりだしたべっどのうえで おもいっきり ぷんぷんになって ぱんち きっく かぶりつき でもつめをたてるのはるぅるいはんだよ きょうのは「ことりのけんか」なんだから さあそれでは …

振り出しのウサギ

アリスは、お姉さんと並んで土手にすわっていましたが、なにもすること がないので、たいくつしてきました。お姉さんの読んでいる本をちらっとの ぞいてみたのですが、その本にはさし絵もないし、会話のやりとりもありま せん。アリスは思いました。「絵がな…

第十二章

かれに知らせてはならぬ 彼女がいちばん好きだったのはかれらだと なぜってこれは永久にほかのだれにもないしょの きみとぼくだけの秘密なのだ 『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル 高橋康也・迪=訳(河出文庫)より

ちいさな眠り

沖方行き 辺を行き 今や妹がため わが漁れる藻臥束鮒 『万葉集』巻第四-六二五(旺文社文庫)より

鏡の山の峰に澄み、

(中略)さていうことには、 「水の神のみことのりじゃ。老僧かねて放生の功徳を積み、今江に入って魚のあそびをねがう。かりに金鯉の服をさずけて魚の国のたのしみをさせようぞ。ただ餌のにおいに迷って、釣の糸にかかり、あったら身をほろぼすなよ。」 そ…

小唄

一 白鳥も居ない、華やかな埠頭もない、 なにやら荒れた寂しさが 眼に 落莫を映してゐる、 その視線を 私は、ここに、 落日の黄金の色で 空一面 七色に塗りたてられた 手もとどかないほど高い 自惚の天心から 移して來たが、 今 忽ち、惱ましげにも、眞白な …

ほんとうのことを話そうか

相変わらず「偽装」で騒がしい世の中だが、本当は「偽り」そのものが問題ではなくて、「偽りだ。」と告発する側の座標軸そのものがずれていることが問題なのだ。が、まあいいだろう。 小学生のとき、たまたまテレビのスイッチをいれたら「羅生門」を放映して…

オアズの流れを

10月に「後期韻文詩」というタイトルで引用した粟津則雄訳のランボオの詩は「地獄の季節」でわずかにかたちを変える。その詩を小林秀雄がみずからの訳で「ランボオ」という文の終りに載せていたのをすっかり忘れていた。それはそうだろう。「ランボオ」とい…

秤の皿

「どうもわたしにはよくわからん」 「どうぞそんなことにはお構いなく!」とほうもない裸体がいった、「首領の霊息とモンスズメ蜂とを秤にかけてみましょう」 「おまえの分銅と目もりはなにかね?」 なおも自分をジャック・ド・モレーだと思っている霊息がた…

ありながらにして消えるものたち

「サイエンス・マスターズ 全22巻」など、自然科学に限らず、様ざまな分野の書籍を真面目にだしていた草思社が民事再生申し立てをしたようだ。(わたしの好みではないが「声に出して読みたい日本語」や「間違いだらけのクルマ選び」などのベストセラーのこの…

p&b&ds

ストラングラーズの「BLACK AND WHITE」とキース・ジャレットトリオの「STANDARDS LIVE」(星影のステラ)を購入。オークションでの中古ではなくめずらしく実店舗で探して買いました。買ったのはこの2枚のみ。クラシックのCDが1枚もないのはわたしとして…

love&peaceの彼方へ

あれがまた見つかった! 何が?永遠が。 それは交わらされた海、 太陽に。 ぼくの永遠の魂よ、 おまえの誓いを守ってくれ、 夜が孤独だろうと、 昼が火と燃えようと。 そこで、おまえは解放される、 人間たちの投票から、 多数の共同の情熱から! おまえはと…